布団のダニ対策、どうしたらいいですか？

1.布団の打ち直しで確実なダニ退治の対策

ダニは60℃で死滅します。
でもダニの卵をやっつけないと、2週間後にまた復活します。

では、卵まで死滅させるのには、どんな方法が一番効果的なのでしょうか？

以前、NHKの「ためしてガッテン」がダニ対策を特集して、反響を呼んだそうです。けれど、そこでも紹介されなかった、とっておきの方法をお教えしましょう。

それは布団の「打ち直し」。
「打ち直し」って聞いたことがありますか？

布団をお直しするときに、布団を覆っている側（がわ）生地をはぐと、布団の中身が出てきます。
この布団の中身の綿（わた）をほぐし直して、ゴミやほこりを取り除いて清浄にし、新品のときのように、ふかふかの布団に戻す方法が「打ち直し」です。
この方法だと、ダニの卵まで死滅します。

布団を打ち直しに出している間に、部屋のダニ対策もおこなわないと本当のダニ対策にはなりません。

具体的には
①部屋のダニ対策（薬剤を使う）
②布団のダニ対策（布団の打ち直し・クリーニング）
③2週間後、もう1度お部屋のダニ対策
をすると、効率的にダニ対策ができます。

ダニは6～9月に繁殖しますので、1年に1度はお部屋と布団を徹底的にクリーンにしましょう。
日本人は昔から「土用の虫干し」をする習慣がありました。
今も見習いたい暮らしの知恵ですね。

2.布団のダニ対策、本当に効果はあるの？

よくいわれる布団のダニ対策について、どの程度効果があるのかみてみましょう。

2-1【布団のダニ対策＜天日干し＞】

布団の天日干しでダニは完全に死滅するのでしょうか？
答えはノーです。

ダニが死滅する温度は60℃といわれております。
通常の天日干しでは布団の中の温度が60℃まで上がらないため、死滅には至りません。

また、ダニは意外と賢くて、天日干しをすると、布団の裏側に逃げていきます。
天日干し2分～40分。裏表で1時間30分程度干しても、布団のダニは80％は生きています。

とはいうものの、布団の湿気やにおいを取り去るためには、天日干しは大変有効ですので、定期的に日に当てることをおすすめします。

2-2【布団のダニ対策＜布団乾燥機＞】

布団乾燥器の温度は60℃程度まで上がります。
ですからとてもよいですね。

ところが・・・。
布団の厚みが問題です。

厚い布団の場合、乾燥機をかけても布団の真ん中まで60℃にならないからです。
また、敷布団の表をかけている間に、ダニは裏側へ逃げて行きます。
とはいえ、一定の効果があるのは事実ですので、2週間に1度程度、表面にいるダニをやっつけましょう。

2-3【布団のダニ対策＜コインランドリー＞】

コインランドリーの熱も60℃ありますので、表面だけは有効です。
薄い掛布団や薄い敷布団なら、真ん中まで熱が届くかもしれません。
コインランドリーの乾燥機なら、布団全体を熱が覆うため、家庭用の布団乾燥機よりコインランドリーの方が有効といえるでしょう。

2-4【布団のダニ対策＜布団専用クリーナー＞】

代表的な布団専用クリーナー「レイ○ップ」の場合、その紫外線は、布団のダニ除去には効果がないそうです。
販売しているメーカーがそういっているようなので、布団のダニは100%生きていると思われます。

この布団の中に生きているダニは、掃除機をかけると布団にしがみつき、なかなか取れません。
ただ、死滅したダニの死骸はハウスダストになりますので、掃除機をかけて死骸を除去することは効果があります。

2-5【布団のダニ対策＜洗濯＞】

夏布団など薄い布団やカバー類、タオルケットなどは自宅でも洗濯ができますね。
布団を水で洗濯したらきれいになると思っていませんか？

ダニは洗った程度では死滅しません。
布団を洗うと落ちるのはダニの死骸だけです。
ただ、ダニの死骸とダニの餌である人間の皮脂や髪の毛などもキレイに落とせるので表面がキレイになる水洗いには、一定の効果はあります。
しかし、生きているダニも、卵も死滅はしません。

ダニが死滅するのは60℃の温度ですから、洗濯後のタンブラー乾燥機はとても有効です。

そこで、布団マイスターからの提案です。

通常の洗濯とは手順が変わりますが、ダニを退治するなら、
①タンブラー乾燥機で生きているダニを死滅
②死骸を洗い流す
③布団を乾燥させるためもう1度タンブラー乾燥
という順番がいいですね。

ただ、この場合でも卵が残ります。2週間後にもう1度この手順で行うと、効率的にダニを除去できます。

3.本当の布団のダニ対策

本当にダニの対策をするなら、卵まで死滅させなければ意味がありません。
布団のダニを卵まで死滅させるのには、120℃で熱処理をするとよいのです。
120℃なら、卵の中が沸騰しますから。

日本には昔から「打ち直し」（再生加工）という方法があります。
新しい布団を製作するときには、90cm×180cmの綿を何枚も重ねて製作します。
そして、布団ができあがると、乾湿や寒暖で繊維が伸び縮みして、一体化した綿になります。

「打ち直し」とは、この綿を機械にかけ、もう1度最初の90cm×180cmの綿の状態に戻すことです。

工程を説明しましょう。

側生地をはずし、中身だけにした後、開綿機という機械にかけます。
開綿機は、糸巻きのようなドラムに、大きな刃が剣山のようにたくさんついていて、その刃が高速で回転して、布団を削り取るように切り刻んで細かくしていきます。

続いて、お裁縫の針のような細い剣山のドラムが綿をキレイに細かく整えます。
そして薄く引き伸ばし、反物の布のようにベルトコンベヤー状態で、綿にしていきます。

この、反物のようになったところで乾燥機にかけます。
その温度120℃。
この時、ダニの卵まで死滅します。

その後、集塵機という掃除機にかけ、ホコリやダニを吸い取ります。
綿を解体しますので、ダニが逃げるところがありません。
ですから布団のダニを完全に死滅させる方法は「打ち直し」が一番なのです。

4.究極の布団のダニ対策

購入のときから、ダニ対策に有効な布団を選ぶことができたらいいと思いませんか？
それができたら、究極のダニ対策といえそうですよね。

実はできるんです！

最初からダニを退治しやすい布団・ダニがつきにくい布団・ダニが死滅する布団を選び、部屋のダニ対策をしっかりやれば、日常的なダニ対策は完璧です！

4-1【究極の対策＜ダニを退治しやすい布団を選ぶ＞】

ダニの退治には、60℃の熱がもっとも有効です。
そのあと掃除機をかけられる素材がよいです。
天然繊維の木綿、羊毛、などは大丈夫。
また、ポリエステル、ウレタンも大丈夫です。

樹脂素材は熱に弱く、「エアウィーヴ」の場合、保証書でも布団乾燥機などは禁止と記載されています。
高温でのダニ対策に樹脂素材は向かないということです。
また、無駄に厚い布団では熱が真ん中まで届かないため、注意しましょう。
もっとも布団のダニを完全に退治できるのは「打ち直し」なので、「打ち直し」ができる商品を選ぶことをおすすめします。

4-2【究極の対策＜ダニのつきにくい布団を選ぶ＞】

そもそも、ダニがつきにくい素材を選ぶのも一つの手です。

ダニにとって、温度25〜30度、湿度60％が繁殖しやすい環境となります。ここに、エサがあると爆発的に増えます。
天然素材はダニのエサになります。

化学繊維であるポリエステル、ウレタン、樹脂（エアウィーヴ）がダニのつきにくい布団になります。
特に樹脂は湿気が少なく、保温力も小さいので、とてもダニがつきにくい環境です。

4-3【究極の対策＜ダニが死滅する布団を選ぶ＞】

人畜無害で、ダニには厳しい、なんて布団があれば、アレルギーでお悩みの人には、朗報ですね。

実はあります。

「ホウ酸」をご存じですか？
そうです、目薬の成分でもあるホウ酸です。

私の妻は薬剤師で、薬のプロですので聞いてみました。

ホウ酸には人に対する毒性がほとんどありません。
だから目薬に使うのです。
ところが昆虫類がホウ酸を口にしたら、排泄できなくて確実に死滅します。
哺乳類には腎臓があり、仮に口にしても、まったく問題がありません。

「布団のダニ対策にホウ酸の混じったトルマリン結晶」
新しい選択肢として非常に有望だと思います。